親戚一同で伊勢神宮を参拝した。管理人は初参拝。
80歳超のメンバーもいたので、最短コースで無理なく廻るにはどうしたらいいかを考えて計画を立てて行った。
ザックリこんな感じにやりました、という記録なので、同じようなシチュエーション、スケジュールでお伊勢まいりをする予定のある方の参考になれば、と思う。
目次
最短で回るモデルコース
今回は京都から近鉄の観光特急しまかぜに乗って伊勢市駅に着くところから。作法に習い、外宮(げくう)→内宮(ないぐう)の順にお参りする。
伊勢市駅から外宮へ
伊勢市駅前からスタート。
伊勢神宮外宮参道をまっすぐ進む。両サイドに食べ物屋が並ぶ。外宮参道の長さはおよそ500m、時間にして7~8分だ。でもいろいろ見て歩くともっとかかる。
お店選びに困るほど多くの飲食店が並んでいるので、途中で食事をとる予定なのであればあらかじめ「伊勢うどん」「てこね寿司」「伊勢牛の牛丼」などお目当てのモノを決めて調べておいた方がいい。
外宮を参拝
外宮に着いたら、火除橋(ひよけばし)から先は原則として左側通行。真ん中は神様の通り道なので、人間は通ってはダメ。ちなみに内宮は右側通行。
ガイドブックなどでは30分コースとか60分コースとかが紹介されているけれど、時間と体力に自信がない人は最短コースをとるのがおススメ。
まずは手水舎(てみずしゃ・てみずや)でお清め。
禊(みそぎ)が終わったら、まずは正宮(しょうぐう)へ直行。各所に正宮への看板が出ているのでわかりやすい。
外宮の正宮に祭られているのは豊受大御神(とようけのおおみかみ)の和魂(にぎみたま)。”にぎみたま”の解説は後述。
正宮をお参りした後は、外宮の第一別宮である多賀宮(たかのみや)へ。
多賀宮に祭られているのは豊受大御神(とようけのおおみかみ)の荒魂(あらみたま)。
豊受大御神に御礼を申し上げることが目的なのだから、和魂と荒魂の両方を参拝してこそのもの。
正宮から多賀宮までは7分。
多賀宮からはまっすぐ戻れば火除橋のたもとまで10分。
せっかくなので途中の神楽殿(かぐらでん)は見学したい。
そして橋の手前には、式年遷宮関連の常設展示館であるせんぐう館があるので、時間があったら寄りたい。
せんぐう館前の休憩所では無料でお茶が飲めるので、ひと休みするだけの目的で寄るのもあり。
外宮からおかげ横丁へ
次は人気のおかげ横丁へ。移動手段はバスかタクシー。
バスの場合、「外宮前」バス停から三重交通バス『内宮行き』に乗る。
おかげ横丁を歩いてから内宮へ行く場合は「神宮会館前」で下車。
おかげ横丁は後回しで内宮直行の場合は「内宮前」で下車。
「外宮前」から「内宮前」までは15分ほど。大人410円、小児210円。
ちなみにバスの場合は交通系ICカードが利用できる。
タクシーの場合は10分で2000円くらい。実際に何回か乗ったけれど、1800円~2100円ぐらいの幅があった。
おかげ横丁を歩く
バス停から赤福本店まで徒歩300mほど(3分)。とにかく赤福本店で赤福餅を食べないと話にならない。
作りたての赤福餅は最高に旨い。外宮前にある店舗では赤福ぜんざいも食べられる。
赤福本店から内宮の宇治橋前広場までは400mほど。
「うなぎ」「みたらし団子」「うどん」など魅力的なのぼり旗が立ち並んでいるおかげ横丁を素通りすることはあり得ないので、所要時間はかなり多めに見た方がいい。
内宮を参拝
内宮は宇治橋(うじばし)から先は原則として右側通行。外宮と逆なので注意。
最初に手水舎(てみずしゃ)でお清め。
そのあとは正宮(しょうぐう)へ直行。
正宮のあとは荒祭宮(あらまつりのみや)へ。
正宮の御祭神は天照大神(あまてらすおおみかみ)の和魂(にぎみたま)。荒祭宮の御祭神は天照大神(あまてらすおおみかみ)の荒魂(あらみたま)。外宮の場合と同じく、両方に参拝したほうがいい。
正宮から荒祭宮までは7分くらい。
神楽殿(かぐらでん)ぐらいは見ておこうということで神楽殿まで4分。
神楽殿からは7分もあれば宇治橋のたもとに戻ってくる。
急いでいても作法は守る
神社参拝の手法は全国共通の部分もあるが、伊勢神宮ならではの部分もある。伊勢神宮を参拝するのであれば、以下のことを知っておいて損はない。
手水舎の正式作法
手水舎(てみずしゃ)の作法は次のとおり。
②柄杓を左に持ち替え、右手を清める。
③また右に持ち替え、左手に水を受けて口をすすぐ。
④すすいだ水は左手で口元を隠しながらそっと下へ吐く。
⑤口に触れた左手をもう一度清める。
⑥残った水で柄を清め、柄杓を戻す。
水は神様からお借りしているのだという考えから、粗末にはできない。ひしゃく一回分で全て済ませるのが習わし。
とにかく一番やってはいけないのは、直接ひしゃくに口をつけること。これ以外のことなら間違っても、たぶん大目に見てもらえる。
御祭神は全部で四社
古来より神様は二つの面を持っていると考えられているので、その両面を祀る必要があった。
外宮の豊受大御神(とようけのおおみかみ)も、内宮の天照大御神(あまてらすおおみかみ)も、和魂(にぎみたま)と荒魂(あらみたま)のそれぞれを祀った社が一つずつあるので、計四社になる。
”にぎみたま”というのは神様の持つ優しくて平和的な側面のこと。”あらみたま”は荒々しくてエネルギッシュな側面のこと。にきたま/あらたまと呼ぶ場合もある。
外宮・内宮それぞれに和魂と荒魂が祀られているので、双方セットで参拝することが望ましい。
外宮の第一別宮「多賀宮(たかのみや)」・・・豊受大御神の荒魂
内宮の第一別宮は「荒祭宮(あらまつりのみや)」天照大御神の荒魂
神社はお礼を言いに行く場所
正宮では「いつもお見守り下さってありがとうございます」とお礼を言うだけ。私的な願い事をしてはいけないとされている。
元々は天皇家の氏神なので、天下泰平を願う場所。一般の人の願いを唱える場所ではないというのが理由。
別宮では一応、個人的な願い事をしてもいいとされている。でも神様が力を貸してくれそうな願い事に限られるとか。
全て外宮先祭(げくうせんさい)
伊勢神宮にはお参りの順序というものがある。古くから「外宮先祭(げくうせんさい)」という習わしがあり、外宮→内宮の順に参拝するものなのだそうだ。
内宮の御祭神は天照大御神(あまてらすおおみかみ)、外宮の御祭神は豊受大御神(とようけのおおみかみ)で、歴史も格も内宮が上。しかも豊受大御神は天照大御神の食事を用意する御饌都神(みけつかみ)という立場。だから昔から供物を持った参拝者は、まず豊受大御神の方に参拝する。そんなこんなで神事も祭事も全て外宮が先、内宮が後。
片方だけ参拝する「片まいり」という行為は、どちらの神にも失礼なので避けるべきとされている。
本格的な参拝なら二見浦から
古い習わしによると、伊勢神宮に参拝する前には二見浦(ふたみうら)で禊を行うのが望ましいという。
夫婦岩(めおといわ)で有名な二見浦には、二見興玉神社(ふたみおきたまじんじゃ)があり、そこをお参りしてから外宮へ向かう。
ちなみに二見興玉神社には、天照大神がお隠れになったことで有名な「天の岩屋(あまのいわや)」がある。
伊勢市駅から二見浦駅まで電車で8分。二見浦駅から二見興玉神社までは15分ほど歩く。
神社へ続く海岸通りは古風な旅館が並んでいるので風情を楽しめておススメ。歩く際は海岸線を歩くのも気持ちいい。
その他
あとはおまけの話。
おすすめのお宿
ちなみに今回のお宿は神泉(しんせん)。伊勢市駅から徒歩3分かからない便利な立地条件。
温泉旅館なので大浴場以外に各室のバルコニーにも風呂がある。
丸岡宗大夫邸
伊勢には昔、御師(おし/おんし)と呼ばれる、参拝の案内を職業とする人たちが大勢いた。
現在でいうところの”コーディネーター”で、客を自宅に泊め、食事をもてなし、解説付きで案内をしていた。明治の初めに廃止されるまで、全国に派遣されて人々に伊勢まいりを勧め、ともすれば神事まで行っていた御師の役割は大きかったとされる。
宇治山田には御師邸が800軒あったと言われているが、現存する御師邸は丸岡宗大夫邸だけ。一般の見学は不定期。以前に「ブラタモリ」で紹介されたことがある。
人気のかわいい系土産は「おかげ犬」
江戸時代に流行した『おかげまいり』では主人の代わりにお伊勢参りをした犬たちもいたとか。おかげ犬と呼ばれるこのワンちゃんたちはお土産品としても人気がある。
おかげ犬サブレもおいしい。
御朱印を始めるなら伊勢神宮から
伊勢神宮では謹製の朱印帳が購入できるので、御朱印デビューには最適。外宮・内宮はもちろん、周辺の別宮でも御朱印がいただけるので、お伊勢まいりを機に始めてみるのもいい記念になるかも。
特に二見興玉神社の御朱印は人気が高い。あまりに並んでいたので今回は断念した。
まとめ
以上、伊勢神宮の参拝と観光を100%楽しむためのモデルコース・見どころ・お土産・まめ知識を紹介した。
ざっくり廻れば、それほど疲れずに済む。80歳超のメンバーも問題なく参加できた。
伊勢は見どころがいっぱいあるので、できることならゆっくり滞在したい場所である。管理人も本当は鳥羽まで足を伸ばして鳥羽水族館なども見たかったのだけれど、それは次の機会に回すことにした。
昔の人が一生のうちに何回も”お伊勢まいり”をした理由が、行ってみて初めて分かった気がした。まだ行ったことがない人は、ぜひ一度はお伊勢まいりを経験してみることをお勧めしたい。
最低でも正宮と別宮だけはお参りする。
おかげ横丁は必見。
本店で食べる赤福餅はかなり旨い。
外宮前の赤福ぜんざいも捨て難い。