なんだかすごく久しぶりにLinux系のOSを入れてみたら、ひと昔前のイメージと全然違っていて使い勝手に感動してしまった。要らないから廃棄しようと思っていたノートブック的なPCが現役に戻った。モノを一つ減らし損なったのは良かったのか悪かったのか。
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ASUSの古い低スペックのノートブックとKubuntu
我が家にはずっと前に購入して何となく手放せないでいた「ASUS TransBook Flip TP200SA」というノートブックがある。11.6型のタッチパネル式のモニターを持ち、画面をひっくり返すとタブレットのように使える面白い製品なのだけれど、CPUは非力でストレージもeMMC64GB、メモリーに至っては2GBでしかもオンボードなので増設不可。購入時はWindows 10 Home(64bit)が入っていたのだけれど、当然ながら動きがもっさりしていてどうにも使い勝手が悪かった。
Chrome OS Flexをインストールしてみたこともあるのだけれど、当然ながらあれはWindowsとの違いが大き過ぎる。わざわざ外に持ち出してスタバあたりで使ってみようか、という気にならない。
そんなわけで結局使い道がなくて何年もお蔵入りしたままでいたTP200SAだが、サブ機のサブ機として使えるくらいにはなる無料のOSに出会ったのでインストールしてみた。そのOSがLinux系の「Kubuntu(クブントゥ)」だ。
Kubuntuの入手とインストール
UbuntuとKDEの組み合わせでKubuntuというらしい。公式サイトによると、必要環境は次のような感じ。
・2GBのメモリ
・25GBのディスクスペース
・1024×768の解像度が利用可能なグラフィックスカード
メモリー2GBでOKというのはいかにもLinuxらしい。
ISOは公式サイトからダウンロードする。記事執筆時点では最新バージョン 23.10がダウンロードできた。
ここから「kubuntu-23.10-desktop-amd64.iso」というファイルをダウンロード。
このISOファイルと「Rufus (ルーファス) 」というアプリを使い、ブート可能なUSBドライブを作成する。
Rufusの設定はデフォルトのまま。パーティション構成は「MBR」で、ターゲットシステムは「BIOSまたはUEFI」でOK。ちなみにTP200SAはUEFI方式。
USBメモリーを挿したまま電源ON、F2キーで設定画面を出してブートをUSBデバイスに変更。再起動させてUSBメモリーからブート。あとは基本的に画面に表示されるままにインストール作業を進めていけばいい。出だしで日本語を選べば、あとは日本語環境で進めてくれる。
Kubuntu環境でもデバイスは問題なし
Kubuntuをインストールする際に、”サードパーティーのデバイスドライバー等もダウンロードしてインストールする”という項目にチェックを入れたため、少なくともTP200SAではインストール後にデバイス認識エラーで困ることはなかった。
Wi-Fi、サウンド、グラフィックなど基本的なパーツはオールOK。タッチパネルも普通に使えるからびっくり。パワーマネージメントも問題なし。ついでに外部モニター出力も使えた。
日本語入力環境は自力で整える
Kubuntuのバージョンによっては最初から日本語入力ができる場合もあるようだけれど、今回使用した23.10では自力でインストールする必要があった。
さまざまなパッケージのインストールには「Muon Package Manager」というツールがあるとラクなので、標準装備のインストール用ツール「Discover」で「Muon Package Manager」を検索してインストールしておく。
「Muon Package Manager」を起動したら、次の8つのパッケージを検索してインストール。1つ選ぶと関連ファイルとして他のファイルが自動選択される場合もある。
・fcitx5
・fcitx5-mozc
・fcitx5-frontend-gtk2
・fcitx5-frontend-gtk3
・fcitx5-frontend-gtk4
・fcitx5-qt5
・fcitx5-config-qt
・kde-config-fcitx5
全部仕込んでから再ログイン(再起動でもOK)すれば、いつも通り半角/全角キーで日本語入力に切り替えられるようになる。
必要最低限のアプリ環境は整えられる
普段使いしているアプリのうち、Kubuntuでも使えるのは次のようなもの。
Google Chrome
公式サイトからdebファイルをダウンロードして、Discoverでインストールする。
Thunderbird 電子メールクライアント
メーラーはKubuntuに同梱されている「Thunderbird 電子メールクライアント」があるのでそれを使う。
Spectacle
Kubuntuに標準装備されているスクリーンショットを撮るためのアプリ。
MComix
Windowsでいうところの「Honeyview」みたいなコミックビューアのLINUX版。
Krita
フリーの画像編集ソフト。
スクリーンショットはShift+PrintScrnで
画面のスクリーンショットを撮りたい場合はShift+PrintScrnを押す。するとSpectacleというKDEアプリケーションが立ち上がる。表示されたそのままの画像でよければ保存をするだけ。
Spectacleには矩形領域・フルスクリーン・アクティブウインドウといった選択ボタンが並んでおり、さまざまな画面キャプチャができるようになっている。
Windowsとマウス・キーボードを共有できる「Barrier」が便利
TP200SAをメインPCの横に置いて2台で作業をしたい時に役立っているのが、WindowsとLinuxでマウス・キーボードを共有できるフリーソフト「Barrier」だ。
BarrierをWindows PCとKubuntu PCにそれぞれインストール。Windowsの方をサーバー設定、Kubuntuの方をクライアント設定で立ち上げると、Windows画面からKubuntu画面へシームレスにマウスカーソルを移動させることができ、どちらの画面でも共通のキーボードが使えるようになる。PCに画面が2つあるような使い勝手だ。
ソフトのダウンロードは下記サイトから。
なお、Kubuntuの方はMuon Pakcage Managerで検索してインストールすることもできる。
おわりに
というわけで使い道のなかったASUSのTP200SAが、意外と使えるサブサブ機くらいには昇格した。スタバに持ち込んで打ち合わせやネタサーチなどに使ったりしている。タブレットモードにすれば電子書籍も読める。(ただしこの製品は実はなかなかに重量がある)
OSの推奨スペックは高くなる一方なので、要求を満たさない低スペックマシンは不用品になるしかない。しかしWindows OSでは扱えないマシンでもKubuntuならそれなりにイケるので、地球にやさしいエコな思考を持つ人にはぜひともお勧めしたい。