ノートPCのハードディスクが壊れたのでこの際だからSSD(ソリッド・ステート・ドライブ)に乗り換えようと考え、いろいろ調べてみた。SSDもちょっと見ない間にいろいろ変わっている。
目次
SSDのメリット
昔手に入れた32GBのSSDを1つ持っていたので、テレビ台の下に納まっているデスクトップにWindows7を入れて使っているが、もう5年も前に購入したSSDで、ベンチマークをかけても大した数値は出ない。それでもSSDというのはいいものだと常々感じている。
SSDのメリットをざっと挙げてみるとこんな感じ。
・とにかく速い。動きが軽快。こればかりはHDDとは比較にならない。
・回転構造ではないのでとにかく静か。HDDのようにブンブンと耳障りな鈍い音を立てて唸ったりしない。
・熱くならない。
・軽量。
・省電力。
大幅に安くなったSSD
性能差などはピンキリあるものの、個人向けの範囲で見た場合の、2015年4月末のSSDの価格は概ね次の通り。
32GB・・・4,000円~11,700円
64GB・・・5,300円~15,000円
128GB・・・7,280円~20,000円
256GB・・・11,980円~24,000円
SSDが普及し始めてからまだ10年経ってないくらいだけれど、出たての頃の高価な印象はだいぶん薄れてきた。
しかしながら、普通のHDDが1TBでも5,000円からあるのと比べると、安くなったと言えどもSSDは割高だし、一般用途向けに大容量のものが存在するわけではない。今後更に進むと思われる低価格化を考えると、あまり大きな容量のSSDを高額なお金を払って導入するのも、何だかもったいない気がする。
実際のところ、長くPCを使っていると、本当に必要だと感じるアプリなんてごく少数なわけで、メインのドライブにそれほど多くの容量を当てる必要はないような気がする。
ちなみに、Windows7の場合、OSだけの占有量は10~14GB程度。最小限のアプリしか入れないのであれば32GBのSSDでもいけるかも・・・。
SSDの性能の違い
SSDが出た頃は「SLC」(シングル・レベル・セル)と、「MLC」(マルチ・レベル・セル)とがあって、SLCの方が高速で低電力で耐久性も高く、それゆえに高額だった。でも最近はMLCの技術がどんどん進歩してSLCの有難味も薄れ、世に出回っているSSDのほとんどがMLCだ。
では最近は何が違うのかというと、次のような点が主に価格差の要因となっている。
シーケンシャルリード・ライト
もっとも重要でわかりやすい差が読み込み速度と書き込み速度。一般に読み書きの速度というと、このシーケンシャルリード・ライトを指す。これは速いに越したことはない。単位はMB/Sec。
・Transcend社のTS128GSSD370・・・Read最大570MB/Sec Write最大170MB/Sec
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・SanDisk社のADATA SP-900・・・Read最大545MB/Sec Write最大535MB/Sec
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・PLEXTOR社のpx-128m6s・・・Read最大520MB/Sec Write最大300MB/Sec
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ランダムリード・ライト
SSDの得意技であるランダムアクセスの速度は、体感速度に大きく影響すると言われている。こちらの単位は通常IOPS(Input/Output Per Second)で表される。
MTBF値
MTBF(Mean Time Between Failures)値とは、各メーカーが公表しているSSDの寿命。当然ながら寿命が長い方が高いと考えていい。
キャッシュの有無
最近のSSDはキャッシュが無くてもプチフリーズを起こさなくなったようだが、キャッシュ付きタイプの方が動作は安定する。
SSD向けにPCを設定する
HDDからSSDに換装する場合、特に何もしなくても動くので気にしない人は気にしないのだろうけれど、SSDの寿命を延ばすためのPC設定がいくつか必要になる。書き換え回数に寿命があるSSDを使う場合、その寿命を少しでも引き延ばすためには、ディスクへのアクセスを可能な限り減らすことが重要。
ページングファイルを無しにする
ページングは物理メモリーの不足をハードディスクの一部を使って補う仕組みなので、書き込みが頻繁に行われることになる。SSDには大敵。できることならオフにした方がいい。
ハイバネーションを無効にする
メモリーに記憶させた状態で待機に入るスリープと、ディスクに記憶させて待機に入るハイバネーションでは、後者の方が待機電力は少なくて済むのだが、その分ディスクへの負担も増える。ハイバネーションはオフにしておく方がSSDには優しい。
ただし、ノートPCをバッテリーが無くなるまで使い切る癖がある人は要注意。ハイバネーションをオフにした場合は、バッテリー残量5パーセントになったらデータを保存して終了させるように習慣づけた方がいい。
なお、これらはWindows7までの話のようで、Windows8以降ではハイバネーションをオフにしてしまうといろいろと問題があるらしい。
定期的なデフラグをオフにする
Windows7以降ではSSDに対してデフラグをかけないような仕様になっているようだが、デフォルトで設定されている自動デフラグは無効にしておいた方がいい。そもそもランダムアクセスが得意なSSDは分散されたデータも問題なく読みに行くので、デフラグ作業は不要。無駄に断片化を整理してSSDの寿命を縮めることは避けるべき。
最適化ツールや診断ツールの活用
SSDを使うのに最適な状態にPCを設定するための支援ツールや、気になるMTBFなどを診断してくれるツールなども出回っているので、必要に応じてこれらを活用しよう。
SSD Scope(Transcend)
Transcend社のSSDをサポートする診断ツール。ドライブ情報や状態スキャンをしてくれる。
SSDLife
様々なメーカーのSSDに対応した寿命診断ツール。
SSD最適化ツール
SSDに合わせてPCの設定を変更するための支援ツール。電机本舗が無料で公開している。
HDDからの引っ越しならSSDに対応したツールを
HDDのデータをそっくりそのままSSDにコピーして換装させる場合、最も信頼できるアプリは「Acronis True Image」。
アクロニス Acronis True Image 2015 for PC and Mac – 3Computer THMVB2JPS |
有償アプリだけに、SSDに合わせたアライメント調整や、大容量HDDから小容量SSDへのコピーにも対応している点で、フリーのコピーツールでは出来ないことをやってのける。
→「Acronis True Image」公式サイト
4096バイト単位で書き込むSSDと、32バイト単位で書き込むHDDのパーティション開始位置がずれるのが、アライメントのずれと呼ばれる現象。アライメントがずれたまま使っているとランダムライトが異様に遅くなったりする不具合が出る。こうした現象を避けるためにも、SSDに対応した引っ越しツールが必要なのだ。
フリーのアプリでかなりいい評価を得ているものもある。それが「Easeus TodoBackup」。こちらも「SSDに最適化する」オプション機能が付いているので安心。
バックアップ速度や付属ツールなどは、やはり有償アプリの方に軍配が上がる。その辺は使用頻度や予算の都合で選択すればいいだろう。
価格がこなれてきて、手が届くようになったSSD。今後はますます普及していくと思われる。容量の小さなものを購入して、試しに使ってみるというのもありだと思う。こういうことは、やってみなければわからないってことが結構あるものだ。