格安SIMの利用者は年々増えていて、2019年の調査ではMVNOメインの利用者が全体の12.3%に達したとか。でも利用者が増えると速度が遅くなるのでは?という不安は現実になり、最近では都市部のお昼時など集中する時間帯はホントにダメダメだ。
地方に暮らす私の場合、自宅では電波そのものが心もとないという環境なので、普段の格安SIM利用で混雑による遅さを感じたことはない。でも実際にその遅さを目の当たりにするのは仕事や旅行で東京などの都市部へ行った時だ。
お昼などは通信速度がほぼゼロになったりするので非常に困る。これではwebブラウジングはおろか、ちょっとしたメールのやり取りにもかなりのストレスを感じる。
格安SIMでも快適な速度を維持する方法があるのかないのか、格安SIMの選び方で違いがあるのか、一時的にでも早くする手立ては・・・、といったことについていろいろ調べたのでまとめます。
目次
格安SIMの速度を向上させる方法はあるか?
ドコモの通信回線を間借りしている格安SIMは、もともと回線そのものの許容量が小さい。ユーザーが集中する時間帯に自分だけ速くする方法などあるのだろうか。
電波の増強
「電波が弱い」という状況を改善する方法なら、以前から増幅アンテナや増幅シールが販売されていて、それなりの効果を発揮する場合もあるようだ。
中にはスマホカバーと一体になったものもあるので、このカバーを普段使いで利用すれば日常的に電波が増幅されるといううれしいことになるかも。
でも格安SIMがアクセス集中によって遅延している状況の場合、電波の強さは関係ないことも多い。都市部で電波が弱いということはまずないからだ。
3Gへの切り替え
巷の噂では4G/LTEのエリアであえて3Gに切り替えることで混雑回避が図れるらしい。速度の遅い少数派に仲間入りすることで、4G/LTEよりも遅いはずの3Gを使った方が速くなるというわけだ。
4G/LTEを使わずにあえて3Gを使う、という設定はかんたんにできる。iPhoneを例にすれば次のとおりだ。
[設定]メニューの[モバイル通信]欄をタップして[通信のオプション]へ。
[4Gをオンにする]をタップして[オフ]を選べば完了。
左上のアンテナの横の「4G」という表示が「3G」に変わるのでわかりやすい。
もちろん通常は4Gの方が速いわけで、何でもかんでも3Gにすれば解決するというわけではない。どうしようもなく遅くなってしまった時に試すとうまくいく可能性がある、と言う程度かもしれない。
格安SIMの場合、LTEでも3Gでも実測にそれほど違いがあるわけではないとも言われているので、3Gへの切り替え方は知っておいたほうが役に立つかも。
ただしこの方法はUQ mobileでは使えない。3G回線を使っていないからだ。
au自体も2022年3月末で3Gサービスを終了すると発表している。5Gの登場もあるので、どのキャリアも遅かれ早かれ3Gから手を引くのだろう。
SIM業者による違いはあるか
格安SIMと一口に言っても、ドコモから回線を借りて運用しているMVNOと大手携帯電話キャリアが直接運営しているサブブランドとでは回線速度が全く違う。
最も安定していて混雑時でも速度が落ちにくいのは「ワイモバイル(Y!mobile)」。これはソフトバンクが廉価版サービスとして提供しているサブブランドだから速いのが当たり前。ドコモ回線を間借りしている他のMVNOには決して真似できないハイレベルのサービスを提供している。
同様に「UQ mobile」もKDDIが運営するサブブランドなのでauの携帯と同じ回線が使われていて、速度も出やすい。
「それなら選択肢は限られる。ワイモバイルかUQ mobileにすればいいんじゃないか」
とも思えるけれど、この2つは他のMVNOよりも料金が若干高めに設定されているので、できるだけ安く抑えようと思うと選択肢から除外されてしまうことも。
MVNOの中でも楽天モバイル、mineo、LINEモバイルあたりは比較的速くて安定しているという評価を受けている。格安SIMを月額料金で選ぶなら、この3つのうちのどれかにしておくのが無難だ。
私は楽天モバイル・LINEモバイルを含め4種類ほどのSIMを使っているけれど、楽天モバイルが昼時に使えなくなるのは何度も経験している。速度を優先したいなら多少高めでもワイモバイルかUQ mobileにしたほうが後悔が少なくて済むかもしれない。
場所による違いはあるか
同じ場所でもSIMによって速度が違うのは、キャリアの違いであり、基地局の距離の差だ。日本の場合、ドコモが最強な場所ばかりじゃない。ソフトバンクの方がつながりが良かったり、auが強かったりする。
私の自宅では楽天モバイル(ドコモ回線)とLINEモバイル(ソフトバンク回線)では圧倒的にLINEモバイルの方が速い。
下が楽天モバイル(ドコモ回線)の速度調査結果。
そして下がLINEモバイル(ソフトバンク回線)の速度調査結果。
我が家の場合はドコモの電波が壊滅的に悪く、ソフトバンクの電波が良好。良好といってもこの程度だけれど。
山ではソフトバンクが壊滅的だという話も以前話題に上っていた。今はどうなのか。
使う場所や地域によっては格安SIM選びも慎重にせざるを得ない。どのキャリアも万能ではないのだ。
SIM2枚同時通信は便利なのか
デュアルSIM・デュアルスタンバイという言葉がある。省略してDSDSと呼ばれることも。SIMを2枚挿して使い分けることで、回線速度の遅いときはキャリアSIMに切り替える、などの技が可能になる。
でも2枚挿したからといって、2回線を束ねて速度2倍、というおいしい話ではない。あくまでも1回線しか使えないのが残念な点。2枚挿して速度2倍なら、とっくにみんなやってるだろう。
しかもSIM二枚挿しはバッテリーの消耗が激しい。モバイルバッテリーが必須になる。
DSDSに対応している機種はいくつかあるけれど、実用面で人気の高いのがZenfone Live(L1)、HUAWEI Mate 10 Pro。そしてもちろんiPhone XS/XS Max/XRも人気が高い。
Zenfone Live(L1)
SIMカード2枚挿しができる上にmicroSDカードまで挿せるトリプルスロットがウリのAndroid端末が「Zenfone Live(L1)」。3,000mAhのバッテリーを内臓しており、最大16時間のネット使用が可能。
デュアルカメラを搭載し、バッテリーも4,000mAhと大容量化された「Zenfone Max Plus(M1)」も注目株。
HUAWEI Mate 10 Pro
Leica(ライカ)のダブルレンズカメラを搭載し、4,000mAhのバッテリーを内蔵した「HUAWEI Mate 10 Pro」。6インチ液晶に顔認証システムと、エントリー機とは思えないハイスペックさが人気。
2枚のSIMを使い分ける方法は若干の手間がかかる。でも速くて料金の高いSIMと安くて遅いSIMの併用は、速度が出ない時間帯を乗り切るための非常手段としてはありかもしれない。
お試しができるSIMで速度を確認
今使っているSIMよりも速いSIMがあれば乗り換えたいと考えている人は、お試しが出来るSIMを利用して速度を体感してみるのが手っ取り早い。
無料でお試しができるSIMは次の通り。
UQ mobileの「Try UQ mobile」
15日間無料でUQ mobileの端末がレンタルできる「Try UQ mobile」というサービスがある。SIM単体でも借りられるので、手持ちのスマートフォンに挿して試しまくることが可能。
webからでも店頭経由でも申し込みできる。webで申し込むと4日~6日で郵送されてくる。
イオンモバイル無料貸し出しサービス
イオンモバイルを1週間無料でレンタルできるサービス。イオンモバイルショップやイオン店舗で実施している。
mineo無料レンタル
「mineoプチ体験」キャンペーンの一環として、期間限定で行っている無料レンタルのサービス。記事作成時点では2019年8月31日までとなっている。
mineoプリペイドパックというものあって、こちらはずっと実施している。契約不要で試せるのでおすすめ。
DTIの「半年お試しプラン」
半年間無料でお試しが出来るのがDTI。半年といっても使えるのは3GBまでだが、短い期限を気にしながら使うよりもいい。
nuroモバイル
nuroモバイルでは月額300円で0.2GB使えるお試しプランが用意されている。最低利用期間も解約金もないので気軽に始められ、本気で使いたくなったら他のプランへの移行も可能。
契約前に動作の確認ができるのは何よりありがたい。他のSIMでもぜひこのサービスを取り入れて欲しい。
少しでも速いSIMへ乗り換える
結局のところ、混雑時の遅さが我慢できないのであれば、少しでも早いSIMに乗り換える以外に効果的な方法が無いのが現状。
料金が安いからという理由で遅いSIMを我慢して使っていてはストレスがたまる一方だ。「時は金なり」という言葉に則って考えると、遅さは損だ。
混雑時でも速度が出やすいという評価を受けているUQ mobileやワイモバイルに乗り換える、あるいは乗り換えないまでも試しに使ってみる。それで満足いく結果が得られれば多少の出費も気にならないと思う。
UQ mobileのデータ高速プランなら月額980円で3GBまで使えて、最低利用期間もないのでいつ解約しても違約金無しで安心だ。
5Gを見据えるとサブブランドが安心か
2020年には大手3キャリア+楽天モバイルの合計4社で5Gサービスが始まることになっている。
5Gになるといろいろなことが加速度的に進化しそうだけれど、格安SIMを展開しているMVNOが5Gに乗っかれるかどうかは今のところ不明だそうだ。
5Gへの移行がたやすく、5Gの恩恵を受けやすいのはやはり、キャリアに直結したサブブランドだろう。UQモバイルやワイモバイルであれば、他の格安SIMと違って取り残される心配が少ない。
キャリアは5Gを使って格安SIMが4Gを使う、という住み分けも可能かもしれないが、世の中はおそらく5G向けのコンテンツで溢れかえるだろうから、4G回線も長くは続かない。
ちなみに自社回線への移行を進める楽天モバイルは、2019年10月より自社回線に対応している機種のユーザーへの交換用SIMの配布を始める。将来的な5Gサービスを見越した場合、楽天モバイルはサブブランドの一つと考えていいのかもしれない。
なお、5Gのサービスが始まったら端末側も機種変更が必要だ。4Gまでしか対応しない現行の機種では5Gの恩恵にあずかれない。多少の混乱と出費が待っていると思われる。
まとめ
以上、格安SIMの遅さを何とかしようと思って調べたことをまとめてみたのだが、結局は混雑時に自分だけ速くするような魔法は無いようだ。
混雑時の速さを求める人がすぐにできることは・・・。
UQモバイルやワイモバイルなど、少しでも速いSIMを選ぶことだ。
とりあえずはお試しできるものをお試しして、自分の利用環境に合ったSIMを探すことからはじめる。
というわけで今さっき、UQ mobileの「Try UQ mobile」を申し込んだところだ。届いたらいろいろ試してみる。