Windows X-Liteは、2023年8月に登場した改造版のWindows。不要な機能を削除し、パフォーマンスを向上させることを目的としてカスタマイズされており、ユーザーが選択できる「Defender OFF」と「Defender ON」のビルドが用意されている。
Windows X-Liteのサイトで入手できる最適化されたWindowsビルドは、パフォーマンス、プライバシー、安定性、そしてコントロール性を向上させるよう設計されており、古いPCでも新しいPCでも、性能の低いPCでもデスクトップでもラップトップでも軽快に利用できる。試してみたけれど、これはホントに軽くて便利。
目次
バージョンはいろいろ
公式サイトのダウンロードページから入手できるバージョンには、驚くほどたくさんの種類がある。
大枠では次のように分かれている。
- Windows 10 Builds
- Windows 11 Builds
- Special Edition Builds
- Ultralite Builds
- Barebone Builds
- x86 Builds(32bit版を含む)
その上さらに、それぞれに細かいバージョンがある。例えばWindows 11 Buildsの場合は次のような感じに分かれている。
- WINDOWS 11 22H2 BUILDS
- WINDOWS 11 23H2 BUILDS
- WINDOWS 11 24H2 BUILDS
- WINDOWS 11 25H2 BUILDS
- SPECIAL EDITION BUILDS
32bit版も用意されており、64bitに対応していない古いサブノートにもインストールできるのもうれしい。
インストールしてみた機種
Windows X-Liteは、2GBのRAMと8GBのストレージを持つPCでもインストール可能だという。我が家に居残り続けている使い道のないPCたちにインストールしてみた。
- ASUS TP200S
- ASUS X205TA(32bit)
- DELL INSPIRON 3472
- Acer Aspire 3820-A52C
- Panasonic Let’s Note CF-SZ5
いずれもRAMが2~4GBの非力なマシンで、プリインストールされていたWindowsですら満足に動かなかったシロモノ。どれもUSBブートに対応していたので、Windows 11 Buildsを仕込んでみた。(ASUS X205TAは32bitマシンだったのでx86 Builds)
日本語化をして、必要なドライバーをインストールし、動作確認をした。驚くほどサクサク動く。これ程軽快なのは購入して以来初めてかもしれない。
公式によるドキュメント
Windows X-Liteの公式サイトは下記のようなドキュメントを載せている。
・Windowsの自動更新はデフォルトで西暦3000年まで一時停止されている。もちろん自動更新をONにすることも可能。また、PC の動作を可能な限り軽量かつ最適な状態に保つために、自動更新を停止したままにして、代わりにWindows X-LiteのWeb サイトから入手可能な更新パックをダウンロードして手動で更新することもできる。これにより、更新をインストールするかどうか、またいつインストールするかを制御できる。
ちなみにUltralight ビルドは更新できないので注意。更新を重視する場合は、OS ビルドの更新を完全にサポートする Optimum 10 および 11 ビルドのインストールがお勧め。
・OSは基本的に事前アクティベートされておらず、マルウェア等の危険性のあるツールキットも含まれていない。インストール後にはデジタルライセンス認証もしくはプロダクトキーによる認証が必要。
・デスクトップの「Extras」フォルダー内に Microsoft Store インストーラーが用意されており、追加したい機能はそこからインストール。
・Microsoftアカウントにサインインする場合、まずUAC(ユーザーアカウント制御)を有効にする必要がある。デスクトップの「Extras」フォルダ内の「Fix Xbox Sign in」サブフォルダに、UACを有効にするレジストリファイルが置かれている。これを実行し、PCを再起動すればOK。
11ビルドをインストールしてみたのだが、インストール後に確認したところ自動的にデジタルライセンス認証されたようだった。改造版のOSに関しては公式のサポートがないため、ライセンス認証の正当性や安全性については注意が必要。
何も入っていないのでイチから組み上げる
Windows X-Liteが軽いのは、必要最低限の機能以外を徹底的に削ってあるからだ。インストールが終わった状態では英語環境で、ブラウザーすら入っていないからアプリをダウンロードすることすらできない。
最低限やるべきことは、次の通り。
・Adminにパスワードを設定。
・Languageを日本語環境をインストール。
・キーボードを日本語キーボードに変更。
・TimeZoneを日本(大阪・札幌・東京)に変更。
・Regionを日本に変更。
USBメモリーか何かを経由してGoogle Chromeのインストールをすれば、ドライバー等必要なものはダウンロードできるようになる。普段のインストールではほぼやらない日本語化作業がちょっと手間取る。でも、そこさえこなしてしまえば基本的に大した手間はないと思われる。
非公式な改造版OSであることのリスク
Windows X-Liteは、マイクロソフトが公式に提供しているOSではなく、改造されたバージョン。これにより、マイクロソフトのエンドユーザーライセンス契約(EULA)に違反している可能性がある。改造版のOSは公式のサポートやセキュリティ更新を受けられないため、リスクが伴う。
一部のユーザーは、Windows X-Liteのような改造版が法的に問題があるのかを疑問視している。マイクロソフトは、改造版の配布や使用に対して厳しい姿勢を取ることがあるため、ユーザーは注意が必要。
改造版のOSは公式のセキュリティ対策が施されていないため、ウイルスやマルウェアのリスクが高まる。Windows Defenderが含まれているとされているX-Liteだが、その信頼性については疑問が残る。
Windows X-Liteが軽量で使いやすいと評価している声が多いが、同時にその安全性や法的な問題について懸念を示している。
マイクロソフト社はWindows X-Liteに対して公式な立場を示していないものの、改造版OSに対する一般的な警告や法的なリスクについては、ユーザーに注意を促す姿勢が従来より見受けられる。
Windows X-Liteの運営は?
Windows X-Liteの運営費は、主にユーザーからの支援によって調達されているらしい。具体的にはプロジェクトの存続と成長を支えるために、寄付やサポートを募るプラットフォームを利用している。例えばKo-fiというサイトを通じて、ユーザーがプロジェクトを支援することができる仕組みがある。
Windows 10ベースの改造OSを今後10年ほどはサポートする予定なわけだから、それなりの運営資金が必要。運営が滞ればアップデートができなくなり、本家のWindows10と同様、いろいろと問題が生じる可能性もある。
まとめ
Windows X-Liteは使いやすい。特にWindows 11ビルド版などは、メモリーが4GBしかない非力なPCでもWindows 11であることを忘れるほど軽い。
そもそも非公式な改造版OSをメインPCにインストールして使う人は稀だと思う。あくまでサブ機として使ったり、家庭内でファイルサーバーや動画閲覧用PCとして使うくらいのものだろう。
2025年10月14日のWindows 10のサポート終了により、日本国内で約1400万台のPCが影響を受けると予測されている。サポートの終了したOSを使い続けることによるセキュリティリスクの増加は企業・個人に関わらず目を背けられない問題だが、電子廃棄物の増加というのも「経済が回るからOK」と言い切れるものでもない。
そもそも、軽量化なんてのは本家が率先してやってほしいコトだよね。大人の事情があるにしても。
多少古くなっても使えるものは使い続ける、というのが美徳として通用しないデジタル社会は、誰にとってもあまり心地の良いものではないと思うのだけれど・・・。