2013年10月に登場して以来、息の長いプチブームが続いている「RICOH THETA(シータ)」。一般ユーザーには敷居が高かった360度全天球カメラを、安価なトイカメラの域にまでコストダウンして提供してくれた功績は高い。2014年10月には3分間の動画撮影にも対応し、ますます注目されるようになった。画質が悪いという点を気にする声も多いが、3万円という低価格と、全天球映像をワンシャッターで撮れるという利便性の前には些末なことのように思える。
THETAのつくりはとってもシンプルで、スイッチを入れてシャッターを押せば一発で全天球360度パノラマ写真が撮れる。今までのようにぐるっと一周回って何枚も撮影し、家に帰ってからアプリを使って苦労してつなげぐような手間は必要ない。
ただし、シンプルゆえに気を付けなければならない点がいくつかある。購入を検討している人は、事前に知っておいたほうがいい。
1ショットで360度の全天球イメージが撮影できる。【送料無料】リコー 全天球カメラ THETA イエ… |
シャッターを含めて、ボタンは3つしかない
THETAには3つのボタンしか用意されていない。シャッターボタンと電源ボタン、それにWiFi接続のボタンだ。余計なボタンがないことは誤操作を防ぐ意味では有効だが、逆に本体操作だけで設定を変更したりする手立てが一切ないということにもなる。
電源ボタンを押すと静止画撮影モードで起動する。
WiFiボタンを押すとWiFiのホストになり、スマートフォンと通信できるようになる。
WiFiボタンを押しながら電源ボタンを押すと、動画撮影モードで起動する。
動作モードは電源ボタンの点灯/点滅の違いで判別できる。
シャッターを押すと「ピロッ」と鳴る。静止画と動画とではシャッター音が異なる。
シンプルさを極めているのでとても使いやすいのだが、スマホやPCソフトの扱いにある程度慣れていない人は、シャッターを押したはいいけれどその先何をどうしたらいいかわからなくなるかもしれない。
スマホかPCがなければ映像の確認ができない
THETAはPCやスマートフォンがあることを前提に作られている。
THETAにはファインダーも液晶画面もない映像はTHETAとWiFi接続したスマートフォンか、もしくはUSBケーブルで接続したPCがなければ確認することはできない。
<PCアプリ>
<スマホアプリ>
また、SDカードスロットルがないので、メディアを介してデータを直接出し入れするようなことはできない。内臓のメモリー(4GB)だけが唯一のデータ格納先。USB接続かWiFi接続で画像を転送する以外にデータを外部に出力する方法がない。
スマホがなければ設定の変更もできない
THETAのスマートフォン用アプリを使うと、遠隔操作が可能となる。離れた場所からWiFi接続でシャッターを押すことができるし、その場ですぐに撮影結果を確認したり、THETAの共有サイトに画像をアップすることもできるのだ。また、撮影条件等の細かな調整やWiFi用パスワードの変更も可能になるし、隠れた機能であるインターバル撮影の設定もアプリから行える。でも逆に言えば、スマホ用アプリがなければこれらの設定変更は一切できないのだ。
スマホを持っていない人はTHETAを利用するためだけにスマホを持つ必要に迫られるかもしれない。
両面レンズなので取り扱いに注意
魚眼レンズが2つ付いている構造なので、そのまま置くとレンズが傷つきそうで怖い。そのため付属のソフトケースの常用が不可欠だ。また、別途購入するストラップ用アタッチメントを装着して、首にかけて使用するのが望ましい。
THETAを購入しようと考える人のほとんどは、スマホで閲覧・共有したり、ブログにアップしたりすることが主な目的だと思うので、こういうデジタルなおもちゃの扱いには慣れているのだろう。でもそうした明確な目的なしに手を出すと、ひょっとしたら手に余る玩具となってしまう可能性もあるので注意が必要だ。