衛星インターネットで圏外ゼロへ!携帯各社の挑戦がいよいよ本格化

日本国内で利用可能な衛星インターネットサービスは急速に進化しており、特に2026年以降には新たな選択肢が増える見込み。

山間部に位置する筆者の家の周囲では携帯電波が激弱。基地局や光回線に頼らない衛星インターネットサービスが実現されれば非常に助かる。ついでにコストが削減できればなお良しだが、そこはあまり期待できないだろう。

地球上のどこでもインターネット。圏外ゼロに。以下に現在のサービスと今後の展望をまとめてみる。

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利用可能(予定も含む)な衛星インターネットサービス

2025年11月の時点で、日本国内で利用可能な衛星インターネットサービスは次の通り。

1. Starlink

SpaceXが提供するStarlinkは低軌道衛星を利用した高速インターネットサービス。日本では2025年4月からKDDI(au)を通じて、スマートフォンと直接通信できる「au Starlink Direct」サービスが開始された。このサービスにより、空が見える場所であれば圏外エリアでもSMSの送受信が可能になる。

対応するスマートフォンは約600万台に上り、特に山間部や離島での通信が期待されている。

2. 楽天モバイルとAST SpaceMobile

楽天モバイルは、AST SpaceMobileと提携し、2026年内に低軌道衛星を利用した通信サービスを開始する計画。このサービスは一般的なスマートフォンを使用して、広範囲にわたる通信を可能にする。

3. Amazon Leo

Amazonの新しい衛星インターネットサービス「Amazon Leo」は、以前のプロジェクト名「Project Kuiper」から改名され、2025年11月に一部の顧客向けにテストが開始された。

Amazon Leoは最大1ギガビットのダウンロード速度と400メガビットのアップロード速度を提供する予定で、世界中の顧客に高速インターネットを届けることを目指している。このサービスにより、特にリモートエリアでのインターネット接続の改善が期待されている。

4. スマートフォンと衛星の直接通信

NTTドコモやソフトバンクも、2026年春以降にStarlinkを利用したスマートフォンと衛星の直接通信サービスを開始する計画。このサービスにより、山間部や離島での通信カバー率が向上し、災害時の通信手段としても重要な役割を果たすことが期待されている。

au Starlink Directは対応機種とアプリを限定

国内で最も早く衛星通信サービスの提供を開始したKDDI(au)だが、「au Starlink Direct」は現在のところ、対応機種と対応アプリが限定されている。対応機種は公式サイトで公開されているが、利用にあたっては本体を買い替えることになるユーザーも多い。

⇒対応機種一覧:au Starlink Direct

au Starlink Directに対応している主なアプリは次の通り。これらのアプリは圏外エリアでも利用可能で、特にアウトドアや旅行時に役立つ機能を提供している。

対応アプリ一覧

  • Googleマップ: 位置情報とナビゲーション機能を提供。

  • ウェザーニュース: 天気予報や警報情報を確認可能。

  • YAMAP: 登山用のGPS機能を持ち、現在地の確認やルート計画ができるアプリ。

  • X: リアルタイムの情報共有ができるSNSアプリ。

  • auナビウォーク: 最適なルートを検索するナビゲーションアプリ。

  • 特務機関NERV防災: 防災情報を提供するアプリ。

  • いまココ: 登山者の位置を確認できる見守りアプリ。

  • ヤマレコ: 登山の計画や記録ができるアプリ。

  • タイドグラフBI: 釣り場の潮見表を提供。

  • 釣り船予約「釣割」: 釣り船の予約ができるアプリ。

  • 乗船名簿クラウド: 釣り船の乗船名簿をスマホで記入できるアプリ。

  • スマートニュース: 最新のニュースをまとめて確認できるアプリ。

  • NewsPicks: 経済ニュースをわかりやすく提供するアプリ。

  • auメール: メールの送受信ができるアプリ。

  • 家族の安心ナビ: 家族の位置情報を確認できるアプリ。

  • GoogleのFind Hub: スマートフォンやタブレットの位置情報を共有できるアプリ。

  • 緊急情報サービス: 緊急時の情報を提供するアプリ。

  • ココダヨ: 防災や見守り機能を持つアプリ。

  • フィットネス: アクティビティの詳細を確認できるアプリ。

これらのアプリは特に圏外エリアでの通信を可能にするために最適化されており、各アプリの機能は衛星通信に合わせて調整されている。現時点でau Starlink Direct対応アプリには一般的なWebブラウザーや多くのコミュニケーション系アプリは含まれていない。

Amazon Leoの「Leo Ultra」が試験運用を開始

Amazon Leoは企業および政府機関向けに設計された高性能な衛星通信サービス「Leo Ultra」の試験運用を2025年11月より開始。このサービスの主な特徴は以下の通り。

1. 高速通信能力

Leo Ultraは、最大1Gbpsのダウンロード速度と最大400Mbpsのアップロード速度を提供する。この速度は競合するSpaceXのStarlinkが提供する最大400Mbpsを大幅に上回るもので、商用フェーズドアレイアンテナとしては世界最速とされる。

2. 耐久性と設置の容易さ

このアンテナは高温、低温、降水、強風などの過酷な環境に耐える設計が施されている。また、可動部を排除した一体型の設計により、迅速に設置できることが特徴。さまざまな場所での運用が可能となる。

3. カスタムシリコンチップと信号処理

Leo UltraはAmazonが設計したカスタムシリコンチップを搭載しており、独自の無線周波数(RF)設計と信号処理アルゴリズムを使用している。このチップはスループットを最大化し、レイテンシーを最小化することが可能。これらの特性はビデオ会議やリアルタイム監視、クラウドコンピューティングなどのアプリケーションにおいて特に重要となる。

4. プライベートネットワーキングとセキュリティ

Leo Ultraのサービスは企業のネットワーク管理ツールやエンドツーエンドの暗号化を提供し、24時間体制の優先サポートも含む。またAmazon Web Services(AWS)や他のクラウドネットワークとの直接接続が可能で、リモート資産からプライベートネットワークへのデータ移動を安全に行うことができる。

5. 試験運用と今後の展開

現在、Leo Ultraは一部の企業向けに試験運用が開始されており、2026年の本格商用展開に向けて準備が進められている。これにより、企業や政府機関が必要とする高帯域幅の通信ソリューションを提供することが期待される。

これらの特徴により、Amazon Leoの「Leo Ultra」は特に厳しい環境での運用が求められる企業や政府機関にとって、非常に有用な通信手段となることが予想される。

楽天モバイルの「Rakuten最強衛星サービス」

楽天モバイルは2026年内に衛星インターネットサービスを開始する予定。

このサービスは米国のAST SpaceMobileとの提携により、低軌道衛星を利用してスマートフォンと直接通信を行うもの。

具体的には、2026年第4四半期(10月から12月)に「Rakuten最強衛星サービス」として提供される計画。一部発表ではそれをさらに前倒しする案も浮上している様子。

このサービスにより、山間部や離島など、従来の地上通信インフラが届きにくい地域でも、スマートフォンを通じて音声通話やビデオ通話、テキストメッセージの送受信が可能になることが期待されている。また、災害時にも通信が維持できるという利点がある。

楽天モバイルの公式発表によると、「Rakuten最強衛星サービス」には他社にない強みがあるという。

1. スマートフォンとの直接通信

楽天モバイルは米国のAST SpaceMobileと提携し、既存のLTE対応スマートフォンと衛星との直接通信を実現している。このため特別な衛星電話や機器変更の必要がなく、ユーザーは手持ちのスマートフォンで衛星通信を利用できる。

2. 巨大な衛星アンテナ

楽天が使用する低軌道衛星「BlueBird」は約223平方メートルの巨大なアンテナを備えており、Starlinkなど競合他社の衛星に比べて約36倍の面積を誇る。この大きなアンテナは地上からの電波を受信しやすく、逆に衛星からの電波も地上に届きやすいため、少ない衛星数で広範囲に強い電波を届けることが可能。

3. 災害時の柔軟な対応

楽天モバイルはMNO(モバイルネットワークオペレーター)として自社で地上設備を管理・運用しているため、災害時に迅速に通信帯域を増強するなどの柔軟な対応が可能。大規模な災害が発生した際には、被災地域に電波を集中させることができ、他社のサービスよりも迅速に対応できる。

4. 24時間365日利用可能

楽天モバイルのサービスは24時間365日利用可能で、接続開始後は遅延がほとんどない状態で通信が行えることが期待されている。ユーザーは常に安定した通信環境を享受できる。

5.音声通話やビデオ通話、動画視聴にも対応

楽天モバイルはサービス開始当初より、音声通話・ビデオ通話はもちろんのこと、動画視聴やSNS等にも対応できる十分な通信速度を提供する予定。

これらの特徴により、楽天モバイルの「Rakuten最強衛星サービス」は、特に災害時や通信インフラが不十分な地域での利用において、他社のサービスと比べて優位性を持つとされている。

Starlinkの既知の問題点

現在運用されているStarlinkにはいくつかの問題点が指摘されている。そこには今後進められる予定の他社にとっても、反面教師とすべき重要な側面がある。

1. 障害物による通信障害

Starlinkのアンテナは、衛星との間に障害物があると通信ができなくなる。特に木や建物などが周囲にある場合、電波を受信できない可能性が高く、設置場所の選定が重要。個々にアンテナを必要とするサービスの持つ限界ともいえる。

2. コストの高さ

Starlinkのサービスは初期投資としてアンテナやWi-Fiルーターの購入が必要であり、月額料金も他の通信サービスに比べて割高となっている。特に、光回線が利用できる地域ではコストパフォーマンスが悪く感じられることがある。後続には可能な限りコストをかけずに済むサービスの提供が求められる。

3. 天体観測への影響

Starlinkの低軌道衛星は光を発しながら地球を周回しており、その光が天体観測に悪影響を及ぼす可能性がある。特に星空の観察を行う天文学者にとっては、光害が深刻な問題となっている。

4. サービスの不安定性

接続が不安定であるとのユーザー報告が多く、特に悪天候時や混雑時に通信速度が低下することがある。また特定のアプリやサービスにアクセスできない場合もあり、これはStarlinkの回線が海外のプロバイダーとして認識されることが原因とされている。

5. 衛星の数と干渉のリスク

Starlinkは数千機の衛星を運用しており、その数の多さが衛星同士の衝突や干渉のリスクを高めています。この問題は国際的な通信インフラにおいても重要な課題となっている。

これらの問題点は、Starlinkの利用を検討する際に考慮すべき重要な要素であるばかりでなく、今後運用される新サービスが目を背けられない課題でもある。ユーザーとしても、設置環境やコスト、通信の安定性について、事前に十分な情報を得ておくことが推奨される。

まとめ

日本国内では、Starlinkや楽天モバイルの新サービス、そしてAmazon Leoなど、さまざまな衛星インターネットサービスが展開されつつある。特に通信インフラが整っていない地域でのインターネット接続が大幅に改善されることが期待されており、今後の展開に注目が集まる。

ただし、Starlinkのようにさまざまな問題を抱えながら運用されている事例もあるので、便利さだけに目を向けるわけにはいかない。

楽天モバイルの「Rakuten最強衛星サービス」には期待が高まる。前情報通りのスペックが実現できれば衛星通信サービスとして理想的。

低軌道衛星だらけの夜空というのはいただけないが、衛星の処理能力が強化されることで数が減少することを願うしかないのが現段階。最終的には各サービスが衛星を共有する方向で進んでいくのだろうか。

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[この記事を書いた人] おき兄
デジタル世界で遊び続けて十余年。ガジェット大好き。組み立てたり壊したりするのも好き。昔はマザーボードに美しさを感じたりしていました。最近はVR/MRに傾倒。Xアカウント:@Okiniでも情報共有。

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